前回の記事に引き続き、愛情溢れる養殖事業をされている里喜仁さんのお仕事、後編です。
トラフグ以外にも真鯛・サバ・しまあじを見せていただきました。
また、この時期はトラフグの稚魚が入ってきていた時期でしたので、まだ小さい体ながら、ぷくっと怒ったトラフグの稚魚も見せていただくことができました。
小さくても歯は鋭いので、これから何度か「歯切り」といって、他のフグを傷つける恐れのある鋭い歯を人力で切り落とす作業が必要になります。
1日に3回は海に出て、バケツから手で餌を撒き、フグの死骸があればすぐにすくい取り、綺麗な海水面を保っておられる里さん。
餌の栄養にもこだわりがあり、企業秘密の特別な液体をかけてトラフグがより栄養を多く含むようにと努力をされています。
これを入手するのもとても長い旅路を経ておられるのです。
戸石で獲れたトラフグ、よそで獲れたトラフグ。
多くは下関のトラフグの集積場に集められ、そして下関のトラフグとして全国や世界へと届けられていきます。
しかし思うのです。
里さんのトラフグはきっと、他のどこのトラフグとも違うのだろうなと。
そこにかけられてきた愛情は、ごまかしのきかない本当の優しさでした。
そんなふうに育ったトラフグが美味しくないはずがありません。
一番美味しいのではないかと思うのです。
私たちは、下関から先は、それが誰のトラフグなのかを知ることはできません。
けれどもコロナ禍を経て、生産者さんの売り方にも変化が見られるようになりました。
直接お魚を購入することができる仕組みが生まれました。
これからは、より生産者さんの声が、姿勢が、消費に付加価値をもたらしていく時代が来るのだろうと思います。
その意味においてもこのうみとぴあでも、一つの商品が食卓に届くまでのストーリーを皆さんにお届けしてまいります。
この人の育てた魚を食べたい!
そう思っていただけるようにお伝えしてまいります。